「シャカシャカ」生地の正体は? GORE-TEX・POLARTEC・eVent 比較!
ここ最近、ウエアの生地について興味が湧いてきています。
ウエアの生地をしっかり知ることにより、今後、着るものをうまく調整して快適に過ごせるようになりたいと思います。
今回はよくわかっていないけれど、着る機会や聞く機会が多い「GORE-TEX」から派生して「POLARTEC」「eVent」の3つについて山博士に教えてもらいました。
この先出てくる、浸透性と通気性の2つの言葉の定義は下記の通りです。
・浸透性:蒸れを外に逃がすこと(水は通さず水蒸気を外に逃がす)
・通気性:空気を外に通すこと(水蒸気と空気を外に逃がす)
GORE-TEX(ゴアテックス)
まずは、歴史が1番深いGORE-TEXから見ていきます。
GORE-TEXがアウトドア商品やレインウエアとして登場したのが1976年。
それ以前は登山用のレインウエアはまともなものが存在せず、完全防水だけれど透湿性はゼロという素材のレインウエアを使うか、ポンチョなどの通気性を確保した形態のものを組み合わせて使っていたそうです。
しかし、完全防水の透湿性がないものを着ていると、服の中に汗が溜まり続けることになるのでびちょびちょに……考えるだけで風邪ひきそうw
その前とかは熊の皮にロウを塗っていたとか!(気になって詳しく調べようと思ったけれど、一瞬出てきた画像がグロすぎてやめました……)
この発明が登山関連用品に大きなインパクトを与え、GORE-TEXが登山用具関連で最も人を救った発明と言われている理由がわかってきました。
GORE-TEXの特徴
GORE-TEXを作っているのは、日本ゴア株式会社という、なんともまぁそのままな名前の会社名なのですが、元々は医療分野の心臓を保護するシートなどを作っている会社だったそうです。
そんなGORE-TEXの特徴は、透湿性と防水性に優れているところ。
つまり、水蒸気は通すけど、雨は通さないということです。
私は今までGORE-TEXは1枚の生地のことを言うものだと思っていましたが、メンブレンという防水透湿の膜であるということを知りました。
これが今回わたしが1番伝えたいことというか、私の中の大発見でした!!!(無知)
わかりやすい図を拝借してきました。
この真ん中にあるのが膜。GORE-TEXです。
下から出てくる細かい粒の水蒸気は外に出ることができます(透水性がある)が、上から落ちてくる大粒の雨は通さない(防水)という構造ですね。
そしてこの図の黄土色の生地に耐久性があるものを、下の黒い生地は肌触りを良くするものが採用されることが多いようです。肌触りが良いものを採用する理由としては、GORE-TEXそのままだと汗などで肌にくっつき、ペタペタしてしまうから。
ただ、GORE-TEXを使える生地はGORE-TEXの素材が活かされると認定されたものしか使えません。言われてみると確かにそうだよな、と思いますよねw
GORE-TEXの構造
上記の図のような3層に分かれている構造を3レイヤーといいます。
それ以外にも外の生地とメンブレンのみの2レイヤーや2.5レイヤーなど構造は様々あるようです。
上の図のような、2.5レイヤーは3層の時に使用する裏地よりも「非常に薄くて軽い、丸編みニット」を使用しているため、肌触りがよい上に、体から発する蒸気を外に逃しやすいらしいです。
着てみると、軽くなり、ゴアゴア感がなくなるそうです。(ゴアだけにw)
よく使用されているブランド:NORTH FACE・mont-bell(※独断と偏見です)
NeoShell(ネオシェル)
NeoShellはトレイルランをやっていると、見かける機会の多いPOLARTEC社の商品の1つです。
調べているうちに知ったのですが、POLARTEC社は元々、革新的な保温を目的としたウェアの素材としてフリースを開発したことによって注目されるようになったそうです。
また、重要な顧客の1つに米軍がいるので(すごすぎ……)、過酷なシチュエーションで高いパフォーマンスを可能にしつつ、快適性や機動性をもつ素材という難易度の高いリクエストに応えているそうです。
NeoShellの特徴
NeoShellの特徴は防水透湿性がとても優れていて伸縮性があること。
また、耐水圧の表記を数万+mmとしていかにすぐれているかを表している素材もある中で、「10,000+mmの耐水圧があれば、衣類の内部は十分にドライであり、より数値が高いからといってさらにドライになるわけではない」という姿勢を貫いて、より快適な状態を保ち続けることを大事にしていると感じます。
正直な話、耐水圧を数字だけで見るとGORE-TEXやeVentの半分ぐらいです。(それでも雨具として充分通用するレベルに高い!)
ただ、透湿性に関しては他の素材よりもずば抜けてよい。そんな感じです。
よく使用されているブランド:Teton Bros.・Answer4・Mountain Martial Arts・patagpnia(※独断と偏見です)
プチ情報として教えてもらったのが、Teton Bros.の ”Tsurugi Jacket” が日本ブランドの製品として初めてPOLARTECのAPEXAWARDを受賞したことが、両ブランドともに転機になったそうです。
これはPOLARTEC社と共に開発したKnit Backer NeoShellを使用しており、ジッパー位置が細かく調整されており、より快適に過ごせる作りになっています。
eVent(イーベント)
英国BHA社が開発した延伸PTFE 「ダイレクトヴェンティングシステム」の防水透湿素材です。
eVentの特徴
eVentの特徴は、裏地が貼られていない分、ダイレクトに湿気が抜けていく構造になっており、GORE-TEXよりも透水性が高いことで知られています。ただ、裏地がないのでポロポロと生地が剥がれることもあるそうです。
ここはもともと英国のメーカーで、比較的にプルオーバーといって前後にあきがなく、頭からかぶって着る形式の衣服をよく作ります。
日本だと着脱がしづらいためあまり人気がないのですが、フルジップじゃない分、軽く動きやすく、圧倒的な透湿性を持っているため、プルオーバーの特徴がより活かされます。
よく使用されているブランド:OMM・Rab(※独断と偏見です)
まとめ
今回は「GORE-TEX」「NeoShell」「eVent」の3つについて教えてもらい、それを元に改めて情報収集してみました。
1つ1つの違いや優れている点を理解することができ、とても勉強になりました。ただ、同じ透湿性という言葉でも、各社によって想う気持ちや考えが違うので、「これは単純に蒸れないことや数字だけで良し悪しを決められない」と思いました。
つまり、生地や着心地って知識が頭の中に入っているだけではダメで、実際に山で着た場合の透湿性能・快適性能でわたし自身がしっかり確かめるべきですね。
今回はそれが分かったことも大きな収穫です。また、ほんの少しの興味だったウエアの生地について調べていくと、思ったより奥が深く、歴史があり、おもしろいと感じてきました。やっぱり知らないことを知るのはたのしい!